テレビ文化 · 全12篇
『ブレイキング・バッド』——十二の読み方
「善人が悪人になる物語」の外側から、六十二話を読み直す
『ブレイキング・バッド』は、善良な教師が犯罪者へ変貌する作品として語られやすい。しかし最初から存在するのは善悪だけではない。自分の能力が正当に数えられなかったという痛み、その痛みを他人に証明させようとする欲望、そして誰かの人生を自分の物語へ組み込む技術がある。
前半は七人の人物と、彼らの周囲に残された死者のリストを読む。後半はウォルターとジェシー、スカイラー、ハンクの関係へ入り、配慮や家族愛や告白がどのように支配の言葉へ変わるかを追う。最後に残るのは、あの「自分のためだった」という言葉である。
I · 12
ウォルター・ホワイト——名のない功績に耐えられなかった男
洗車場の床、グレイ・マターの五千ドル、ハイゼンベルクという名、匿名でしか渡せない遺産から、ウォルターの承認欲求を読む。
II · 12
ジェシー・ピンクマン——埋めても消えなかったもの
Fの答案、調整された教育、ジェーンとゲイル、病気ではなかった犬、鎖を断つ最後の拒否からジェシーを読む。
III · 12
スカイラー・ホワイト——脇役になることを拒んだ人
発言用の枕、二台目の電話、期限つきの共犯、鍵のない家、視聴者の反感からスカイラーの拒否を読む。
IV · 12
ハンク・シュレイダー——遠くを見続け、家を最後に見た捜査官
DEAの役割、エレベーターの発作、ジェシーへの暴行、閉じた家族ファイル、砂漠で名乗る最期からハンクを読む。
V · 12
グスタボ・フリング——閉じきる寸前まで作られた構造
慈善家の顔、父親の言葉、貸し出される承認、マックスの死、ヘクターへの最後の要求からガスの構造を読む。
VI · 12
マイク・エルマントラウト——掟は法だが、誰の法なのか
後始末の技術、半端な手段、孫娘ケイリー、ウォルターへの正しい診断、川辺の二分間からマイクの掟を読む。
VII · 12
トッド・アルキスト——とても働きやすい男
少年の手振り、模範的な従業員、リディアへの感情、青色への執着、ジェシーの鎖からトッドの空白を読む。
VIII · 12
リスト——「必要経費」の欄に入れられた人々
クレイジー・エイト、ゲイル、カンティーヨ家、航空機事故、刑務所の十人を一枚の計算表として読み直す。
IX · 12
ウォルターとジェシー——配慮の言葉で行われる支配
「相棒」という名、必要とされ続ける教師、ブロックの毒、愛と発言権の違い、最後の銃から二人の関係を読む。
X · 12
ウォルターとスカイラー——二人の間で何が起きたかを誰が決めるのか
最初から同じ生活にいた妻、鍵のない扉、偽の告白映像、警察との電話、最後の言葉から結婚の物語を読む。
XI · 12
ウォルターとハンク——二十年間閉じたままだった二つの人物ファイル
無害な義兄と浅い捜査官という誤読、見つからない快楽、認識と逮捕、偽の告白、八千万ドルから二人を読む。
XII · 12
ウォルター・ホワイト——「自分のためだった」
最後の告白を出発点に、自己実現と服従の二択、他人を使う答え、断片的な別解、逃げ出すジェシーを読む。