救助の後に向けられる銃口
初出勤の常守朱が見るのは、拉致と暴行を受け、恐慌の中で火のついたライターを持つ女性だ。ドミネーターは高い犯罪係数を読み、狡噛慎也の銃をリーサル・エリミネーターへ変える。装置は状態を正しく測っている。しかし、その危険が加害の結果として生まれたことは判定に入らない。
判断をしなくてよい武器
ドミネーターは対象を認証し、犯罪係数に応じてロック、パラライザー、エリミネーターを自動で選ぶ。執行者には照準と引き金だけが残り、誤りの責任は測定値へ移る。暴力の濫用ではなく、人が判断する工程そのものの廃止である。被害者と加害者の差は因果ではなく、現在の数値差としてしか記録されない。
有効な制度の冷たさ
シビュラの下で犯罪は低く抑えられ、多数の市民は安全で予測可能な生活を得る。宜野座が新人の直感に他人の命を賭けるなと叱るのも正しい。彼自身、潜在犯となった父を見て、清潔な位置を守る必要に追われてきた。問題は制度が無能なことではなく、有効性のために来歴と個別判断を不要とすることだ。
一秒だけ換算しない
朱は女性を撃てないため、パラライザーが開いた執行官の狡噛を撃ち、救助の時間を作る。彼女は反体制思想から動いたのではない。震える一人と警告音を並べ、前者を選んだだけだ。狡噛自身も、殺された部下を事件記録へ閉じられず潜在犯となった人である。人への執着を危険と読む制度の内部で、朱はその一瞬だけ人を数へ換えない。
対象作品: Production I.G / Gen Urobuchi, PSYCHO-PASS. TVアニメ第1期を主要テキストに、設定上の数値と制度を確認しながら、測定・適性・法・自己判断を読む独立した日本語批評です。