世界文学 · ドストエフスキー『罪と罰』
『罪と罰』を読む
理論、二人目の人間、そして悔悟までの距離
『罪と罰』は、罪悪感に耐えられなくなった殺人者が自白する物語だ、と要約されがちである。だが出発点は斧より前にある。ラスコーリニコフはすでに、人間を「凡人」と「非凡人」に分ける論文を書いていた。
四篇は、殺人を自己採点の実験として読み、計算に入らなかったリザヴェータ、救済装置にされがちなソーニャ、そして敗北を認めることと他者への判断を変えることの差を追う。逐語訳ではなく、日本語の批評として論旨を組み直した。