物語と構造 · 古代物語 · 全19篇 · 04 / 19
イザナギとイザナミ――愛は変わった人を元へ戻せるか
取り戻しに来た相手は、死が彼女に起こした変化を見ようとしない。
物語の場面
イザナギは黄泉へ妻を迎えに行く。見るなという約束を破って火を灯すと、目の前にいるのは記憶の中の妻ではなく、死の姿を帯びたイザナミである。
別の読み方
愛は『以前のあなたへ戻ってほしい』という願いになりやすい。その願いは喪失から生まれるが、変化した相手を現在の姿で受け取れなければ、救出は回収へ変わる。
残された問い
変化を受け入れることは、すべてを続けることではない。離れるとしても、相手が記憶の誤りではなく、いま別の存在であることを認められるだろうか。
中英版の論点をもとに、日本語で独立に再構成した読解。異なる伝承を一つの教義へまとめず、それぞれの場面が残す問いを開いておく。