言ったことを必ず実行し、始めたことを必ず完成する人は立派に見える。孔子はその「必ず」に警戒する。言葉を守り、行いを果たすだけなら頑固な小人でもできる、と言う。約束を軽く扱うのではなく、約束を守る自分の像がすべてを支配する危険を見ている。

状況が変わり、約束自体が人を傷つけると分かったとき、機械的な一貫性は徳ではなく逃避になる。修正すれば面子を失い、誤りを認めなければならない。だから「必ず」は責任より楽なことがある。

信頼には継続性が必要だが、継続性だけでは足りない。何に忠実であるべきかを問い直す力も要る。言葉を変えない人より、変える理由を説明し、その代価を引き受ける人のほうが深く約束へ忠実な場合がある。

中国語・英語版を基に、日本語の読者に向けて独立に書き直したエッセイ。詳細な論証はシリーズ末尾の研究版を参照。