SAE 道徳律
道徳律
立法主体の道
道徳律は、何が善で何が悪かという問いから始めない。複数の自己立法的主体が同じ共同体にいるとき、関係の内部からどのような形が生じるかを問う。そこで現れるのは外から課される規則ではなく、その作動様式を成り立たせる構成条件である。
四つの「せずにはいられない」から、内省的な公正、評判、道徳法廷、相互鑿磨、混合現実、共同体と制度の形、そして道家・仏教・カント・レヴィナス・Ubuntuとの対話までを八篇でたどる。
本版は最新の中国語原文と英語版を照合しながら、日本語の哲学的散文として構成と文体を新たに組み直した独立編集・再構成版である。
- 第1篇・全8篇 · 序立法主体の道――善悪ではなく構造から始める道徳を外から課す規範ではなく、複数の自己立法的主体が共に生きるときに現れる構成条件として捉える。14DDから15DDへの歴史的な配置転換と、大同に残る余項を論じる。
- 第2篇・全8篇四つの道徳律――命令ではなく、作動を成り立たせる条件他者を目的として承認し、その範囲と方向を外へ開き、自己の承認構造を問いにさらす。四つの「~せずにはいられない」を規範ではなく構成条件として読み解く。
- 第3篇・全8篇内と外の鏡――自己への公正と共同体の評判公正・正義・平等の尺度をまず自己の内側へ向け、立法の一貫性を問う。そこから共同体が保持する承認状態としての評判と、その偽装を時間が見破る仕組みへ進む。
- 第4篇・全8篇道徳法廷と相互鑿磨――余項を消さないプラスサムの制度加害者が自らを訴え、被害者は参加を選べる道徳法廷を構想する。罪の判定でなく補償と修復を扱い、相互鑿磨がなぜ勝敗を超えたプラスサムになるかを歴史的事例から示す。
- 第5篇・全8篇混合現実を生きる人――15DDを人格の勲章にしない現実の共同体では13DD・14DD・15DDが常に混在する。偽15DDを見分け、自分を保ち、必要なら退出しながら、歴史の具体的瞬間に現れた立法主体の姿を読む。
- 第6篇・全8篇共同体のかたち――見知らぬ人を見知らぬまま承認するル・シャンボンとニーウランデの分散型救援、スタンディング・ベアとデスカヘの闘いを通じて、集団的15DDの指標と、他者の法を内側から育てる涵養の論理を明らかにする。
- 第7篇・全8篇見えないアーキテクチャ――中心を持たない制度はどう耐えるか指導者が逮捕されても止まらなかったル・シャンボンの救援網から、分散型共同体、通常法廷と道徳法廷の二層構造、集合的証言、退出可能性を備えた制度設計を考える。
- 第8篇・全8篇 · 終章大同には余項がある――諸文明の道のあいだで道家、仏教、カント、レヴィナス、ブーバー、ウブントゥ(Ubuntu)、イスラームと否定神学を並べ、優劣を裁かず重なりと分岐を記述する。道徳律が自ら第四律を実践する最終篇。